2012.09.25
浮標
葛河思潮社
世田谷パブリックシアター
演劇
長塚圭史さんの演劇ユニット、葛河思潮社の「浮標」を見に来てるのだが、まいった。 世田谷パブリックシアターの前方席三列を外して、床上十五センチにベンチシート設置。これで四時間の長丁場という、潜在的腰痛持ちには最悪の設定。 こういうの、チケット売る時に書いておいて欲しいなぁ。2012/9/25(火) 19:27:012012/9/25(火) 19:27:01
「浮標」は、演劇的な力を感じる作品ではあるものの、脚本レベルで自分とは相性が悪かった。 どうにも、主役に心が寄り添わないのだよな。なので、かなり引いた目線で見てしまった。長塚さんの演じた医者が一番共感できるキャラだったという(笑)2012/9/25(火) 22:15:292012/9/25(火) 22:15:29
「浮標」の主演は田中哲司。膨大な台詞で四時間熱演。後半に比べると、前半では声が喉にかかったり、台詞の咀嚼が今ひとつに感じたりというところが残念。そこで主役から心理的に距離ができちゃったところもあるかな。 病気の妻役の松雪泰子さんは、台詞も少なく存在感で勝負の役所。なかなかでした。2012/9/25(火) 22:27:432012/9/25(火) 22:27:43
「浮標」の池谷のぶえさんの母親が最っ悪。悪人ではないのに、ほんっと近くにいて欲しくない人というリアリティがあって、黙って座ってるだけで、あーやだやだと思う雰囲気がある。もう、さすが池谷さん!! 長塚圭史さんの役者姿は久しぶりかも。すごく良かった。額の後退っぷりもツボ(笑)2012/9/25(火) 22:37:262012/9/25(火) 22:37:26
「浮標」は舞台が砂場になっていて、両脇に椅子が十脚並び、そのシーンに出てない役者が座っているという、なるほど長塚さんというセット。 ラスト前もそうだが、二幕のコンパクトのシーンで効果的だった。台詞なし、動きもほとんどなしだが、女達の情念の絡まりあいが、やだやだというぐらい伝わる。2012/9/25(火) 22:58:152012/9/25(火) 22:58:15
「浮標」は、長塚さんが昨年に続いてあえて再演したいと思ったというのもわかる内容の作品。演劇としてのクオリティも高いと思う。 しかし、個人的にはいまひとつ。理由は簡単、人の話を聞かない自己陶酔型の暑苦しい男が苦手ということに尽きる。「シレンとラギ」のラギとかね。2012/9/25(火) 23:22:472012/9/25(火) 23:22:47
昨日の「浮標」で気になった事。 「生」について取り憑かれたように語る夫の言葉を、死を目前にした妻はどのような気持ちで聞いたのだろう。 金の素晴らしさを語る大金持ちに対して貧乏人が反感を覚えるような気持ちにはならなかったのだろうかと。2012/9/26(水) 23:13:542012/9/26(水) 23:13:54
世の中は、やっぱり生きているものの論理で動くんだよな、と思ったりすることがある。 例えば「逆縁は最大の親不孝」なんて言われたりするけど、これも生きている側の論理だよなぁと。 不可抗力で死ぬ直前の子供が思い出したら、すごく不幸なまま死んでいかなくてはいけない気がするのだが。2012/9/26(水) 23:21:182012/9/26(水) 23:21:18
こういうとこ、我ながらひねくれてるなと思うのだが、「自殺は絶対ダメ、生きていればいいことある」なんて発言も、時々ナナメに見てしまったり。 それは生き残った(そして大抵は成功している)人の話だから、そりゃそう思うよねと。亡霊に聞いてみたら、あの時死んでおいて良かったと言うかもねと。2012/9/26(水) 23:27:432012/9/26(水) 23:27:43
「自殺はダメ、生きていればいいことある」というセリフ、死んだ人がどう思うかというのはナンセンスだろうけど、自殺を止められなかった家族や友人なんかは、どういう気持ちで聞くのかな。死なせてしまったことに対する罪悪感をあおるだけのような気がするのだが。2012/9/26(水) 23:30:402012/9/26(水) 23:30:40
などなど「浮標」は、生と死に関する事をやっぱり考えさせられてしまう舞台でした。 主役の画家の芸術家的側面の魅力がほとんど出てなかったなと思ったのだけど、彼が魅力的になってしまったら、エンターテイメントになってしまって、こういうテーマ性が薄れちゃうんだろうなという気も。2012/9/26(水) 23:34:322012/9/26(水) 23:34:32
「浮標」は傑出した画家のカリスマ的魅力、死にゆく妻の同じ部屋にいるだけで息苦しくなるような生への執着、などに重点をおく演出もあるんだろうな。 古田新太と篠井英介とか、チョウソンハと蒼井優とか、そこらへんで見てみたい気もしたんだけど、今回とは違う話になりそうな気もするのだ。2012/9/26(水) 23:40:322012/9/26(水) 23:40:32