2022.12.11
夜明けの寄り鯨
新国立劇場小劇場
演劇
「夜明けの寄り鯨」@新国立劇場小劇場。 昨日、内容についてのツイートを見ていたので、話の構造自体については諦めて見たのもあって、なかなか楽しかった。 いやー、いますよいます、こういうデリカシーゼロの人々、というのを山ほどみて、ほんっと世間ってたまんねぇよなぁと思う作品でした。 https://t.co/Jufg27pdmr2022-12-11 14:46:55 GMT+9:002022-12-11 14:46:55 GMT+9:00
主人公の女性が、25年前の大学生のグループ旅行で行った海辺を再訪し、現在と過去が交差する構成。 25年前の倫理観はともかく、クリエイションチームとしては、それに対する批判的な目線がこの程度なのねー、というのは完全に時代から遅れてる感じで。 10年前ぐらいに発表してたらセーフだったかなと。2022-12-11 15:00:04 GMT+9:002022-12-11 15:00:04 GMT+9:00
戯曲が横山拓也さん、演出が大澤遊さんと、多分ノンケ男性2人のコンビ。 面白いなーと思ったのが、悪役が全部女性なんですよ。いやー、無理だわー、みたいな言動がバンバン出てきて、わかるわかるイカれた女性ってたまにいるよねーと思ったり。 そして、男性陣は結構いい感じに描かれてるの笑うよね。2022-12-11 15:03:12 GMT+9:002022-12-11 15:03:12 GMT+9:00
紗里の描かれ方とか、いやー、「目覚めた女」に対する悪意に溢れてますなー、と笑っちゃいました。 現在の状況とか、これ、一周回って笑うところだよね? ぐらいのバカにした雰囲気を感じる設定で。2022-12-11 15:16:31 GMT+9:002022-12-11 15:16:31 GMT+9:00
作品としては、あー、確かにこういう人達いるよねー、というか、多数派なんだよねー、というか芝居作ってる人達がそこらへんなんだろうねー、というのを見せてくれるという点で、ひとつメタな視点で見るとなかなか勉強させてくれると思う。 ゲイ大勢でツッコミながら見たら楽しそう。2022-12-11 15:21:26 GMT+9:002022-12-11 15:21:26 GMT+9:00
内容を別として、演劇としては、うーん、ちょーっと微妙かなみたいなところも。作演出ともに若い方なんだろうか。 やりたい事の方が先にきちゃって自然には見えない、みたいな部分があちこちにあって、操り紐の見える人形芝居というような感じも。2022-12-11 15:48:27 GMT+9:002022-12-11 15:48:27 GMT+9:00
「夜明けの寄り鯨」 オープンリーゲイの演出家に、デリカシーゼロの人々を描かせる作品として作ったら面白いかもと。 悪者が女性ばかりってのが、ちょっとアレなんですが、演出家がゲイだと、そこも許されやすくなるかなとか。 以下ネタバレ。 https://t.co/UNpC6vNx9H2022-12-11 16:09:53 GMT+9:002022-12-11 16:09:53 GMT+9:00
「夜明けの寄り鯨」 最近、当事者性という事についていろいろ考えちゃって。 これ、もし、作者と演出家がゲイですという形で発表したら、見る人の受け取り方が変わると思うんだよね。 ホモフォビックだと思うか、現実のやりきれなさを描いたと思うかが、そこの先入観で切り替わるんじゃないかと。2022-12-11 16:20:15 GMT+9:002022-12-11 16:20:15 GMT+9:00
今回の作者演出家のお二人のセクシュアリティは存じ上げないのですが、見た感じでは、どちらか片方がゲイというのはあってもおかしくはないとは思う。 でも、そこをオープンにしないで世に出したら、ホモフォビックと言われるよな。 作品を作品単独では評価できないというのは難しい話だけど。2022-12-11 16:27:03 GMT+9:002022-12-11 16:27:03 GMT+9:00
「夜明けの寄り鯨」 これ、見方によっては「春にして君を離れ」だと思うんですよ。 そっちを意図してゲイが書いた、うっわーうっわーうっわーって思いながら帰りましょうっていう戯曲、という線はなくはないかもとは思うわけで。ただ、今回の演出はそうではないよね。2022-12-11 16:34:37 GMT+9:002022-12-11 16:34:37 GMT+9:00
この作品、女性の感想はどうなんだろう。 確かにいるんですよ、告白されて断ると、自分が好きだという事を免罪符だと思って相手のプライバシーを土足で踏み躙った挙句に、それを吹聴して回る女性って。 でも、ここまでモラルが低い人をわざわざ主人公にしなくても、みたいに思ったんだけど。2022-12-11 16:42:03 GMT+9:002022-12-11 16:42:03 GMT+9:00
アウティングについて批判的な言動してたのに、自分の味方してくれないとわかった途端にキレて異常な行動に走る女性とかも、路線としては、あーいるいるー、意識高いアライ顔しておいて批判受けると逆ギレするタイプー、みたいには思うんだけど、それにしてもあそこまでのキャラにしなくてもみたいな。2022-12-11 16:46:39 GMT+9:002022-12-11 16:46:39 GMT+9:00
ここらへん、全くわからないのだけど。 女性陣は、それぞのキャラクターに関してリアルさを感じながら演じているんだろうか。 戯曲の役柄がそうだというのもあるけれど、個人的には、男性陣にはそれぞれのリアルを感じたのだけど、女性陣はエキセントリックな役どころを演じてます感が。2022-12-11 16:52:34 GMT+9:002022-12-11 16:52:34 GMT+9:00
小川絵梨子さん、演出家としても芸術監督としても比較的信頼していたのだけれど。 今回の「未来につなぐもの」シリーズは、「私の一ヶ月」と「夜明けの寄り鯨」が連続して、○○に対する扱い方が軽い作品なのが気になって仕方がない。 https://t.co/rNaEfdmhW92022-12-11 17:15:28 GMT+9:002022-12-11 17:15:28 GMT+9:00
「夜明けの寄り鯨」 これ、「春にして君を離れ」だと思うと、めっちゃホラーだな。 その場合、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○だからなのに、悪夢に魘されて目が覚めると、○○○○○○○○○○○○○○○○○とか言うの。怖い。 https://t.co/ZDlklaGUdr2022-12-11 17:38:43 GMT+9:002022-12-11 17:38:43 GMT+9:00
「夜明けの寄り鯨」の中では、ゲイと捕鯨というテーマが並べられていて。 その2つを並べる事に対する批判はあってしかるべきだと思うけど、一方で「クジラは頭が良いから人間に近いと認めて食べない」というのと、「ゲイは美しいから存在を認めてあげる」みたいな物言いの類似性なども考えたりして。2022-12-11 19:30:15 GMT+9:002022-12-11 19:30:15 GMT+9:00
そういう意味では、紗里がヤマモトを庇うのは、とてもよくできているんだよね。 ゲイにも人権があるから庇っているわけではなくて、自分にとって「仲間」の枠に入ってる間だけ、感情由来で庇うという。 あの場で、ゲイの人権とか考えている人は(ヤマモト本人も含めて)ゼロで、確かにそういう時代。2022-12-11 19:39:04 GMT+9:002022-12-11 19:39:04 GMT+9:00
例えば、「今の日本でゲイの人権なんて鯨の人権と同程度だよな」という文章、明確に当事者が書いたか、そうではないのかで、受け取る方の読み方が全く変わるじゃないですか。 そういう部分のある作品だったかなと。2022-12-11 22:44:24 GMT+9:002022-12-11 22:44:24 GMT+9:00
リツイートした、高野しのぶさんの「夜明けの寄り鯨」に関するレビュー。ちょっと違和感あるので、言葉にしておこうと。 ひとことで言えば、25年前の現実にあったゲイ差別を矮小化しないで欲しい、という事になると思うのですが。 https://t.co/YRHCPUANY02022-12-20 23:04:45 GMT+9:002022-12-20 23:04:45 GMT+9:00
「ヤマモトへの集団いじめは苛烈」と書いてあるけど、自分は、あるある系の話で、どちらかと言えば救いのあるシチュエーションにしてあると思ったぐらいなんだけど。 あれを苛烈と言い切っちゃうのって、マジョリティ側はあんな酷いことはしてきませんでしたよ、という主張に繋がると思うんですが。2022-12-20 23:04:45 GMT+9:002022-12-20 23:04:45 GMT+9:00
「物語の舞台となる時代の差別をそのまま描くことはせず、表象を現代の認識にアップデートさせることで、昔の悪習や歪んだ人権感覚の温存にストップをかけられます」と書いてあるけど、それは作品のテーマじゃない部分の話だと思うんだよね。テーマとなる差別を、現代的に直したら矮小化でしょ。2022-12-20 23:04:45 GMT+9:002022-12-20 23:04:45 GMT+9:00
例えば、「ヘアスプレー」を人種やスタイルをごちゃ混ぜにして上演したら、テーマがボケボケになるじゃないですか。 「夜明けの寄り鯨」だって、あれよりも緩い描写にしたら、自死に追い込まれる説得力がなくなって、ヤマモトがメンタル弱々だからしょうがないよね、みたいな話になりかねないわけで。2022-12-20 23:10:36 GMT+9:002022-12-20 23:10:36 GMT+9:00
キツイ言い方になりますが。 あの程度の描写を苛烈と思う人々は、25年前に自身の周りに明確にあったはずのゲイ差別を見ないですませてきたんでしょうね、と思うわけで。 多分、劇中の主人公たちと同年代以上のゲイなら、あの描写を過剰だとは思わないんじゃないかな。もっと酷いの幾らでもあった的な。2022-12-20 23:17:11 GMT+9:002022-12-20 23:17:11 GMT+9:00
「行方不明になった大学生の保護者と連絡が付かないなんて、あり得るでしょうか」という文章があって、あー、そうかー、そういう風に見えるのかー、と。 自分は、生い立ちが特殊で保護者がいないのか、ゲイバレで親に縁切られてるか、どっちかの設定なのかなと思って見ていたので。2022-12-20 23:21:26 GMT+9:002022-12-20 23:21:26 GMT+9:00
例えば、手切金がわりに大学の学費だけ貰って縁切られてたとすると、大学を辞めるって選択肢はほぼないわけで、「二度と顔見せんな」というセリフは、この世の中にお前の生きる場所はないという事に直結するわけですよ。2022-12-20 23:25:20 GMT+9:002022-12-20 23:25:20 GMT+9:00
だから、保護者と連絡が取れなかったという話が出たところで、自分は、行方不明になったのではなくて、死体が見つからなかったんだなと思ったのでした。 もちろん、そこは解釈がわかれるでしょうが。2022-12-20 23:30:32 GMT+9:002022-12-20 23:30:32 GMT+9:00
自分は、「『一橋大学アウティング事件』において、アウティングをしたのは男性です。この作品だとアウティングをしたのは彼ではなく紗里(女性)でした。以前、実話をもとにした作品で加害者を男性から女性に変えたと知った時、悪質な印象操作だと感じました。」という文章が、印象操作っぽく感じて。2022-12-20 23:34:18 GMT+9:002022-12-20 23:34:18 GMT+9:00
自分は、あのシーン、振られたばかりで精神の平衡を欠いている女性が、振られた事で傷ついたプライドを守るために、相手をゲイ扱いしてあの手の行動とるのって、超あるあるだよねー、特にああいう自分に少し自信のあるタイプの女ってすぐやるよねー、わかるわかるー、と思って見ていたのですが。2022-12-20 23:41:09 GMT+9:002022-12-20 23:41:09 GMT+9:00
全編を通してミソジニーきついなーと言うのは自分も大変に同意で。特に最初はゲイである事をかばう彼女。勉強不足のくせに幼い正義感振り翳すキャラで、心療内科に通ってて、最後はヤマモトに一番酷いこと言って、今はシンガポールでヨガのインストラクターとか、悪意丸出しの造形じゃないですか。2022-12-20 23:57:07 GMT+9:002022-12-20 23:57:07 GMT+9:00
自分は、この作品、描写自体には特に問題を感じないんだよね。25年前にああいう人はたくさんいたし、現在の描写もありそうだなーって。 だから、問題にすべきなのは、トータルとして、そういうものを否定しない脚本/演出の態度であって、各パーツに対してとやかくいう作品ではないと思ったのだけど。2022-12-21 00:01:40 GMT+9:002022-12-21 00:01:40 GMT+9:00
本当に少しの匙加減で、内容自体はそのままでも、うっわー「春にして君を離れ」集団バージョンだったー、人間って怖いよーって思いながら帰る作品にだってなりえたわけじゃないですか。 なので、アウティング描写で当事者に気をつかえ、みたいなのは全然違う話じゃないのかなーと思ったのでした。2022-12-21 00:08:40 GMT+9:002022-12-21 00:08:40 GMT+9:00
あ、これは言わないとわからない人も多いのかもしれないけれど。自殺リスクに関しては女性より男性が高く、ゲイ男性は一般男性の数倍だと言われてます。この話は、そこまで含めて「あるある」なんですよ、当事者にとっては。 だから、「すべては三桑の空想」とか書かれると、うーんと思ったりして。2022-12-21 00:30:59 GMT+9:002022-12-21 00:30:59 GMT+9:00
あ、そうか、簡単な事を今になって気づいた。 アウティングがいけないのは、苛烈な集団いじめ、だからではなくて、どれだけ穏やかにやっても、あるいは本人のいないところでやったとしてもダメなわけです。 そういうのって、意外と見えない部分なのかなと思ったりして。2022-12-21 01:08:40 GMT+9:002022-12-21 01:08:40 GMT+9:00
例えば、一般の方はヤマモトがみんなと対峙するシーンをつらく感じたりするのかなと思ったりしますが。 自分は、その前の女性同士の会話によって、本人のいないところでゲイだという噂が広められていくという部分に、あー、ホントやだよねー、こういうのねー、ってダメージ食らうわけです。2022-12-21 01:12:09 GMT+9:002022-12-21 01:12:09 GMT+9:00
あの話にポイントオブノーリターンがあるとすれば、女子部屋で三桑さんが「ヤマモトってゲイだと思う」と言ったところだと思うんだよね。どれだけその重さを自覚してるかわからないですが。 その後の諍いは、観客にとってのわかりやすさのためにあるけれど、そこがなくても同じ結果になり得たかなと。2022-12-21 01:48:30 GMT+9:002022-12-21 01:48:30 GMT+9:00
諍いのシーンをなくし、永嗣が「お前ホモなんかじゃないよな?」と聞いて、ヤマモトが否定して、それで丸くおさまったのに、翌日ヤマモトは失踪していて。というバージョンも可能だろうし、本質的には何も変わらないと思うんだけど、そうするとアウティングに気づかない観客が増えるんだろうなと。2022-12-21 01:59:03 GMT+9:002022-12-21 01:59:03 GMT+9:00