2023.06.28
ロミオとジュリエット
英国ロイヤル・バレエ団
東京文化会館
バレエ
英国ロイヤル・バレエ団「ロミオとジュリエット」@東京文化会館、幕間。 サラ・ラムとスティーヴン・マックレーですから、それは、スゴイのわかってたけどさー、ここまでとは思わないじゃないかー、なんだよこれー、と遠吠えしてしまうぐらいに凄い。 https://t.co/P3ySraulIG2023-06-28 19:43:41 GMT+9:002023-06-28 19:43:41 GMT+9:00
間違いなく、徹底して考え抜かれて、おそろしく息の合った踊りなんだけど、一方で、初対面の2人の相手を予測しきれない感じが随所に感じられて、いやはや、マクミランとはこう踊るものですと後世に残すべき上演では。 あと、音楽がめっちゃよく聞こえる。音楽性というのも、ここまでくるのかと。2023-06-28 19:46:45 GMT+9:002023-06-28 19:46:45 GMT+9:00
2幕終了。 マックレーのロミオには複雑な人格を感じる。ちょっとだけジャン・バルジャンを思い出したり。ジュリエットと出逢って、初めて心から神に祈ることを知った、みたいな。 これ、2幕ラストから逆算してあるんだと思うのだけど、1幕のロミオに少し投げやり感というかやさぐれ感あるんだよね。2023-06-28 20:36:14 GMT+9:002023-06-28 20:36:14 GMT+9:00
ティボルトはエイヴィス。名人芸。 登場時から足元フラつくぐらいに酔っていて、しかも、からみ酒という。時々フラつきつつ、よくあれだけ剣戟できますなと。いや、中の人はシラフなんだけど、どうしてもそう思っちゃう。 最後のロミオとのシーンはど迫力だった。あれだけ激しいのに一音も外さず。2023-06-28 20:39:22 GMT+9:002023-06-28 20:39:22 GMT+9:00
「ロミオとジュリエット」終演。 素晴らしかった。本っ当に素晴らしかった! カーテンコール、幕を開けずに主役の2人だけが出てくるのを、何度も何度も何度も繰り返して。 こういってはなんだけど、NBS さんは、ちょっと余計にカーテンコールやらせる時があるけど、そうではない自然な感じで。2023-06-28 21:48:32 GMT+9:002023-06-28 21:48:32 GMT+9:00
自分にとっては、ラムとマックレーは英国ロイヤルを体現するようなコンビだ。 なぜかカップルという言葉を使うのに躊躇う。その語感に含まれがちな男女の力関係みたいなのが似合わないと思うのかな。 圧倒的な演劇性と、それを支える高度な技術、そして、何よりもキャラクター解釈の思想性かな。2023-06-28 21:57:12 GMT+9:002023-06-28 21:57:12 GMT+9:00
いまひとつ考えがまとまってないんだけど、今日のロミジュリ、自分にとってはジャンルとして「演劇」だったんだと思う。 ジャンルのもつ構造として、自分は、バレエは演目と主演で選びますが、演劇は演出家で選ぶわけです。 それで、今日は、演出家としてのラムとマックレーに感服したんだなと。2023-06-28 23:24:16 GMT+9:002023-06-28 23:24:16 GMT+9:00
シェイクスピアのような古い作品は、時代にあわせて戯曲をどう解釈して演出するかというのがポイントだと思うのだけれど、バレエという枠の中で演劇以上にそれをやられてしまった感じで。 さすがシェイクスピアの国の人だよなぁ、と思ったのだけど、ご出身はアメリカとオーストラリアでしたね。2023-06-28 23:33:05 GMT+9:002023-06-28 23:33:05 GMT+9:00
踊りの技術としてもものすごかったと思うんですよ。マクミランのロミジュリは何度も見てるし、特にバルコニーはガラで頻繁にやってるわけだけど、え、そんな事できるの? みたいな初めて見るレベルの実施が何箇所かあって。何度も見ている振付なのに驚きがあるという。2023-06-28 23:43:32 GMT+9:002023-06-28 23:43:32 GMT+9:00
バルコニーで、ジュリエットが回転しながら入ってサポートつきのピルエットからアラベスクで止まるところ、マックレースペシャルの高速回転で、あそこであんなに回るの初めて見たよ! というのと、それを音をきちんと使ってやる事で恋の高揚感に結びつけるというのに、さすがだよなーと。2023-06-28 23:46:47 GMT+9:002023-06-28 23:46:47 GMT+9:00
リフト、水平方向の安定性というか、グッとあがる瞬間が見えるのではなく、離着陸のタイミングがわからないような滑らかなラインで浮いて、えぇ? と思ったり。 これ、先輩の筋トレの成果なのかもと。ロミオだと衣装で目立たないけど、筋肉すごいもんね。2023-06-28 23:58:12 GMT+9:002023-06-28 23:58:12 GMT+9:00
1幕の舞踏会、ロミオの動線が計算し尽くされてるというのに初めて気づいた。 ジュリエットのソロがはじまるまで、ロミオの視界にジュリエットが入らないんだよね。ソロの途中で下手奥に来たロミオが、はじめて踊っているジュリエットに目を止め、そこからどんどん恋に落ちていく。2023-06-29 00:02:42 GMT+9:002023-06-29 00:02:42 GMT+9:00
マックレーのロミオは一直線には落ちないんだよね。ためらいがあったり、シャイな部分があったり、そういうアクセルとブレーキみたいなものを体の重心や足の歩みで見せるのは抜群にうまいと思う。 ここに限らず、全体を通して、ロミオが葛藤や二律背反を抱えたキャラクターにしてあるのが面白くて。2023-06-29 00:06:59 GMT+9:002023-06-29 00:06:59 GMT+9:00
ロミオって、恋に落ちた一直線バカ、みたいな造形が多いと思うのだけど。 でも、今日のロミオは、ティボルトに対した時に、キャピュレットへの憎しみとジュリエットへの愛という背反した感情のバランスの上で、迷いもありながら友好の仕草を見せるわけですよ。世界も個人も単純ではない。2023-06-29 00:10:35 GMT+9:002023-06-29 00:10:35 GMT+9:00
この造形がとても良かったと思ったのが寝室のシーン。 あそこ、賢者タイムの男ってサイテー、となる場合もあるわけですが、未来のために今の別れをとる事の裏にも葛藤があるというのが明確に伝わってくる。 そして、だからこそ、最後の墓所での迷いのなさが、大変に切ないというのもあって。2023-06-29 00:16:22 GMT+9:002023-06-29 00:16:22 GMT+9:00
サラ・ラムのジュリエット。 家父長制 vs 一人娘、というフェミニズム的構造がものすごく明確に演じられていたと思うのだけど、そこに留まらず、小さくて居心地がいいけれど歪んだ社会から抜け出すことへの圧力と、1人で立つための勇気、みたいな普遍性にまでたどり着いていると思ったのでした。2023-06-29 00:24:36 GMT+9:002023-06-29 00:24:36 GMT+9:00
ジュリエットが「大人」になるというポイントをどこに置くかって、いろいろあると思うのだけど、今日は両親と乳母から結婚を強制された後、初めて社会と個人の軋轢の中で本当の自分の意思というものを見つけて、それに忠実に生きようとするという部分が決定的なポイントだったように感じた。2023-06-29 00:29:28 GMT+9:002023-06-29 00:29:28 GMT+9:00
3幕でのジュリエットとキャピュレット卿の対峙。ロレンス神父に会う前と後で全然違うんだよね。 これは本当にサラ・ラムのすごいところだと思うんだけど、肩の線、顎の角度、ほんの1センチとかを制御する事で、親とそれに従う子、から、利害の反する個人同士、に完全に切り替わってる。2023-06-29 00:33:52 GMT+9:002023-06-29 00:33:52 GMT+9:00
ラムもマックレーもすごかったと思うんですが、いちばんすごいのは2人の相乗効果だよなと。 バレエだと、構造的に、ロミオが/ジュリエットが素敵だから誰だって恋に落ちるよね、となりがちだと思うんだけど、このロミオとこのジュリエットにとってはお互いが唯一だった、という話に見えたので。2023-06-29 00:39:31 GMT+9:002023-06-29 00:39:31 GMT+9:00
これは大変雑な言い方で、しかも結構微妙な話でもあるんですが。 ロミジュリやるとして、バレエだったら美男美女じゃなきゃダメだけど、演劇だったらそうじゃなくてもお互いが唯一だったという話をやれる、みたいな感じのところあるじゃないですか。 バレエなのに、後者の作りだったと思うんですよ。2023-06-29 00:45:39 GMT+9:002023-06-29 00:45:39 GMT+9:00
ラムとマックレーの時の感想が下書に残っていたのでまとめて。2023-06-30 18:05:55 GMT+9:002023-06-30 18:05:55 GMT+9:00
身長が近くて、マクミランを踊るには不利な所もあるはずなのに、全くそれを感じさせず。 逆に男女の関係性に力関係が強く出てこない現代性がある。 どこだったか、もう思い出せないんだけど、身長が近いと男女での組み合わせのポーズで線対象のシンメトリーが生まれるのかという発見があったりも。2023-06-30 18:05:57 GMT+9:002023-06-30 18:05:57 GMT+9:00
3幕の寝室のパ・ド・ドゥの最後、2人で組んで入れ替わりながら回転して上手から下手に移動する部分。 え、何やってた? ちょっと理解できなかったからもう一度見せて、と思ったのだがそんなわけにもいかず。 なんかすごいスペシャルバージョンだった気がするんだけど……2023-06-30 18:05:57 GMT+9:002023-06-30 18:05:57 GMT+9:00
パリスのニコル・エドモンズもよかった。3幕では、いかに心の通わない2人を踊るか、という普通とは逆の要素が要求されるのだけど、そこが大変によかった。 相手が完全に拒否っているのに綺麗にリフトできてしまう、という暴力性が明確になるのは、そこに2人が協力している気配が見えないのが重要で。2023-06-30 18:05:58 GMT+9:002023-06-30 18:05:58 GMT+9:00
ジュリエットがパドブレで後退するシーンが何度かあるのだが、毎回の感情をあれだけ踊り分けられるというのは、バレエの持つ表現の豊かさだよなと。 もちろん、振付をしたマクミランも、心をのせた踊りをしたラムもすごいんだけど、ああいう微細なコントロールでの表現が確立されていることの凄さ。2023-06-30 18:05:58 GMT+9:002023-06-30 18:05:58 GMT+9:00
マキューシオはヘイくん。速い足技をしっかりと踊り切って、なかなか良かったのですが、ヨコシマ目線的に言えば、ちょっとティボルトとの年齢差が強く出ていて、脳内で未成年案件的なブレーキがかかったり。…2023-06-30 18:05:59 GMT+9:002023-06-30 18:05:59 GMT+9:00