2023.07.02
ロミオとジュリエット
英国ロイヤル・バレエ団
東京文化会館
バレエ
英国ロイヤル・バレエ団「ロミオとジュリエット」@東京文化会館。 東京最終日は高田さんと平野さん。 個人的に、海外で活躍する日本人ダンサーを応援する時って、ナショナリズム的要素が入りがちなところに躊躇いがあるんだけど、今日の2人は純粋にロイヤルのダンサーとして素晴らしかったと思う。 https://t.co/nQOpVzIXwq2023-07-02 16:40:47 GMT+9:002023-07-02 16:40:47 GMT+9:00
というような事を書きたくなるのは、高田ジュリエットが「日本人的」な造形だと思ったのもあって。乳母相手にお転婆な面も見せるけど、基本的にはすごく内気で、何かあるとすぐ両親か乳母のところに逃げていく。 まだ世界が家庭の中で完結していて、その外では悪い意味での「大和撫子」的なんですよ。2023-07-02 17:59:58 GMT+9:002023-07-02 17:59:58 GMT+9:00
パリスに紹介されるシーンとか、あー、この男に嫁いで、男の影を踏まない生き方して、トロフィーワイフとして人生終わっちゃうのに、恵まれた人生でしたとか笑顔で言っちゃうんだろうなー、ってのが見えるという。2023-07-02 18:00:00 GMT+9:002023-07-02 18:00:00 GMT+9:00
舞踏会でパリスと踊る時も、義務感というか、綺麗に踊れてるけれど、楽しさゼロでカチンコチン。 それが、ロミオと出逢った事で心が開放されて、パリスの前でのバリエーションもすごく軽やかになっちゃうんですよ。あれ、パリスは絶対惚れ直したと思う、振り向いてもらえる可能性ゼロだけど。2023-07-02 18:00:00 GMT+9:002023-07-02 18:00:00 GMT+9:00
その後もずっと内気な感じは残ったままのキャラクターで、それが踊りに反映されているのがすごいんだよな。 音楽と振付を、そのキャラクター造形で解釈して、細部がものすごく腑に落ちる踊りになっている。2023-07-02 18:00:00 GMT+9:002023-07-02 18:00:00 GMT+9:00
バルコニーは、男性にとって文字通り吐くほど大変だと言いますが、なのにジュリエットばかり見ちゃってすみません。 原作に恋の翼という表現が出てきたと思うのだけど、今日は翼を与えられたのはジュリエット。あんなに軽やかに、本当に宙を舞うというのが相応しい踊りで。2023-07-02 18:00:01 GMT+9:002023-07-02 18:00:01 GMT+9:00
もちろん、それを支えるのは平野ロミオのサポート力で。体格差がある事もあって、支えてるのか支えてないのかわからないみたいな浮き方をする。 特に終盤のジュリエットのジャンプをキャッチするシークエンスは、鳥か天女と戯れてる、ぐらいの浮遊感。2023-07-02 18:00:01 GMT+9:002023-07-02 18:00:01 GMT+9:00
高田ジュリエット、何から何までよかったけど、どれかひとつと言えば、一番最後かも。キスから離れてバルコニーを駆け上がるじゃないですが、あのキスをやめて駆け出す心情がすごくしっくりきて。 なぜあそこでキスを続けないのか、今はここまでで精一杯、という説得力。2023-07-02 18:00:01 GMT+9:002023-07-02 18:00:01 GMT+9:00
今日は脇のキャストもピッタリというか、うまく組んであるなぁと。 舞踏会がお開きになって皆様退場の時に、貴婦人2人が頬をくっつけあうじゃないですか。 今日はその後にマキューシオとベンヴォーリオが同じ仕草をやってて、やだー、もー、仲良しなんだからーと(笑)2023-07-02 18:00:02 GMT+9:002023-07-02 18:00:02 GMT+9:00
2幕も大変に充実していた。個人的には今回一番のマキューシオとティボルト。 シセンズ、マキューシオは似合うだろうなと思っていたのだが、想像をはるかに超えて素晴らしかった。 自分内でキャンベルに匹敵するぐらいに、マキューシオはこれですよ! という。2023-07-02 18:00:02 GMT+9:002023-07-02 18:00:02 GMT+9:00
マキューシオは振付が難しいけれど、それを余裕でこなして、チャラけて踊って欲しいんですよ。酔っ払ったティボルトの剣なんて、余裕で避けてお愛想しちゃうぐらい。ソードファイトにはなるけれど、誰も悲劇を想像しないで笑って見ていられる感じ。2023-07-02 18:00:03 GMT+9:002023-07-02 18:00:03 GMT+9:00
シセンズならやってくれるか? もと思っていたのだが、期待通り、ティボルトの剣を避けてのジャンプの2度目は回転入れてくれて、おっしゃ! と。 これだけの余裕があるからこそ、偶発的に刺されてしまうという演出での悲劇が際立つと思うのです。2023-07-02 18:00:03 GMT+9:002023-07-02 18:00:03 GMT+9:00
2幕、ロミオは微妙に影が薄くなりがちですが、平野ロミオはラストがすんごかった。これはティボルト経験者だからかもしれないが、ソードファイトがガチもガチという。猛虎に対して逆鱗に触れられた龍とか、そういうキレっぷり。 音を鳴らすとかじゃなくて、剣が折れるんじゃないかという打ち込みで。2023-07-02 18:00:03 GMT+9:002023-07-02 18:00:03 GMT+9:00
3幕もよかったのだけど、個人的な好みから言えば古典的すぎたかも。 皮肉な感想ですが、シェイクスピアの400年前の女性像を今一番綺麗になぞれるのは日本人女性なのか、みたいな事を思ってしまったりもして。 ジュリエットの意思があまり感じられないんだよね。とりあえずロレンスに縋ってみる的な。2023-07-02 18:07:37 GMT+9:002023-07-02 18:07:37 GMT+9:00
もちろん、ジュリエットが哀れには見えるんだけど、一方で、まぁ、そうやって自分の意思を自分で押し殺して生きていくなら、パリスと結婚して生きればいいんじゃないかな、みたいに思ってしまう部分もあって。 1幕2幕で街の女たちが自由気ままに振る舞っているのも、そういう印象につながるのかも。2023-07-02 18:11:10 GMT+9:002023-07-02 18:11:10 GMT+9:00
という感じで微妙に心が寄り添わないまま見ていた3幕なのですが、最後の最後、ジュリエットが自分に短剣を刺した後、人生最後の1分で自分の意思を貫き通したよなと、そこで一気に感動してしまったのでした。 そうか、人の成長の究極の瞬間をそこにもってくる役作りをしますか、参りました、という。2023-07-02 18:14:33 GMT+9:002023-07-02 18:14:33 GMT+9:00
ジュリエットが死ぬ「意味」は何だろうと思った時に、オリジナルでは2人の死によって両家が和解するという意味づけがなされているわけだけど、マクミラン版にはないわけじゃないですか。 でも、今日の高田ジュリエットは、悲劇として消費する死、以上の意味を作り出していたと思ったのでした。2023-07-02 18:22:20 GMT+9:002023-07-02 18:22:20 GMT+9:00
平野さん、何故か微妙に影が薄くなりがちな印象があって。とにかく女性をたてて素晴らしいサポートをする感じ。 今日のロミオ、1幕はあの風体なのに、表情がつくと完全に悪ガキで。マキューシオも火の玉ボーイでしたが、ロミオの悪い顔も、時々どえらいことやってんだろお前、という強いキャラ。2023-07-02 18:34:57 GMT+9:002023-07-02 18:34:57 GMT+9:00
高田ジュリエットとの組み合わせだと、サポートが素晴らしいのはもちろんだけど、影が薄くならなくて。これは組み合わせの相性なのかな。支えてるんだけど一歩引きはしない。 3つの幕でそれぞれキスシーンがあるのですが、それが全く違っていて、それぞれに男女両方の気持ちが見えるのがよかった。2023-07-02 18:40:47 GMT+9:002023-07-02 18:40:47 GMT+9:00
1幕の最後、乳母が呼びに来たりしないから、そのまま、えーっと、3幕冒頭まで直行できるわけじゃないですか。 そのシチュエーションの中でのキスに、ジュリエットが手を後ろに反らせる振付が入っているのですが、性的同意ギリギリセーフだけどこれ以上はダメって感じだよなー、めっちゃわかるーって。2023-07-02 18:48:06 GMT+9:002023-07-02 18:48:06 GMT+9:00
そういえば、今日も吉田都新国立劇場芸術監督をお見かけしたのですが。 自分が気づかなかっただけかもしれないですが、今回ダンサーの方はおひとりお見かけしただけで。新国立はレパートリーにロミジュリあるんだし、監督引率で全員で見に来てもいいぐらいだと思うんだけど、そうもいかないのか。2023-07-02 19:17:28 GMT+9:002023-07-02 19:17:28 GMT+9:00
さきほど、ダンサーさん見かけなかったと書いてしまったのですが、詳しい方から、結構みなさまいらっしゃってたと教えていただきました。ありがとうございます。2023-07-02 19:53:27 GMT+9:002023-07-02 19:53:27 GMT+9:00
個人的には、自分たちで踊るなら3回ぐらいは見てもらって、ラムマックレー回で振付の深み、オシポワクラーク回で踊りの自由さ、そして高田平野回で日本人に共感を呼ぶ解釈、みたいなものを学べるはずだよなとか思うんですが。2023-07-02 19:22:00 GMT+9:002023-07-02 19:22:00 GMT+9:00
今日はキャピュレットにガートサイド、モンタギューにモーズリーで。あれ、平野ロミオだから長身キャストでサンダースじゃないのか? と思ったのだけど、見たらすごく納得。 高田ジュリエットだと、ガートサイドの少し柔らかい感じが入ったキャピュレットでバランスがとれるんだ。2023-07-02 19:27:13 GMT+9:002023-07-02 19:27:13 GMT+9:00
高田さんのジュリエット、父親から腕をつかまれると、無理やり引っ張られなくてもそちらに動いちゃう。心がそういうふうに躾けられてる。 これがオシポワ vs サンダースだと完全に力比べで。 同じシーンなのに全然見えてくるキャラクターが違うのがロイヤルの楽しさだよなと改めて。2023-07-02 19:30:21 GMT+9:002023-07-02 19:30:21 GMT+9:00
赤の娼婦、今日も2幕のマンドリンの時に階段上がって、上の階のレディとダンスしてた。あれ、絶対、レディのほうはドギマギして何日何日も思い返しちゃうに違いない。なんて罪作りな。もっとやれ。2023-07-02 19:33:55 GMT+9:002023-07-02 19:33:55 GMT+9:00
2幕のティボルト、途中で手袋とるのってエイヴィスだけ? 実際に手袋外してるところは1回しか確認してないんだけど、登場時は多分全員手袋してるよね? そして、エイヴィスは手で剣を拭って血を確認する時には手袋してない。 ガートサイドは最後まで手袋してたような。2023-07-02 19:39:45 GMT+9:002023-07-02 19:39:45 GMT+9:00
今日のロミオ、ティボルトを刺した後にあまり下手へ移動せず。なので、ティボルトが飛びかかると、完全に抱きついちゃうんですよ。普段は届かないか、届いても足ぐらいなのに。 そして、ティボルトのタックル受けても全く揺るがないのが平野ロミオの強さ。2023-07-02 19:44:13 GMT+9:002023-07-02 19:44:13 GMT+9:00
シセンズの、あの足はどうなってるんだろう。かなり高い角度でも振り上げる感じがなくて、なんというか、無造作なまでにヒョイと上がるのだが、よほどインナーマッスルが強いのだろうか。 太ももとかも、別に太い感じはないのに、足技のキレがすごいし。2023-07-02 21:05:59 GMT+9:002023-07-02 21:05:59 GMT+9:00
英国ロイヤルバレエ団は、スタッフダンサー共にオープンリーゲイの方がかなりいらっしゃって、もちろんオープンにしてない方もいらっしゃるはずで。 それで、今回の公演を見ている時に、出演者の誰がゲイなんだっけ、みたいな事をわざわざ把握する気にならなくなって。別にどうでもいいかって。2023-07-02 22:38:34 GMT+9:002023-07-02 22:38:34 GMT+9:00
ダンサーがゲイかどうかって、一昔前の自分にとっては結構大きな要素だったわけです。それで踊りの評価が変わるとまでは言わないけど、応援したくはなるわけで。 でも、もう、自分がそこにこだわらないで見られるぐらいに、ゲイである事が「普通」になったんだよなと。2023-07-02 22:49:36 GMT+9:002023-07-02 22:49:36 GMT+9:00
もちろん、そういう意味では英国ロイヤルバレエはかなり特殊で、世の中にはカミングアウトするなんて考えられないという集団も山ほどあるわけですが、それでも、世界の頂点のひとつに、こういう集団があるというのは希望だよなと。2023-07-02 23:04:36 GMT+9:002023-07-02 23:04:36 GMT+9:00