2023.08.03
ル・グラン・ガラ2023 Bプログラム
東京文化会館
バレエ
「ル・グラン・ガラ2023 Bプログラム」@東京文化会館。 パリオペガラが4プログラムあって、一つ見るならこれかなと思って取ったのですが、玉石混交感はありつつも、大変に満足でした。 自分がメロドラマにここまで感情移入しちゃうのは、パリオペの凄さだよなと。 https://t.co/OyywEyeQ5Q2023-08-03 22:32:34 GMT+9:002023-08-03 22:32:34 GMT+9:00
ボラックとドキールの「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」で開幕。ドキールくんは、自分が思う若手パリオペ男子ど真ん中で、ソロはいいけどサポートは頑張りなさい、というやつでした。額から鼻筋がパケットに似てる気がするので、頑張って成長して欲しいものです。2023-08-03 22:32:36 GMT+9:002023-08-03 22:32:36 GMT+9:00
ボラックは緩急の緩の使い方が見事。どうしてもそこでタメてスローモーションに入れるの? みたいなところで緩を使うので、目に焼きついて困ってしまうぐらい。 上げた足を下ろす時がこんなにも印象深いのか、みたいな驚きが。2023-08-03 22:32:37 GMT+9:002023-08-03 22:32:37 GMT+9:00
ジルベールとマルシャンで「マノン」の出会い。 マルシャンは推しといいつつ、別に舞台に登場した途端に感激するみたいな熱量はないよなと思いながら見はじめたのですが、マノンと背中合わせにぶつかるために後ろをチェックしつつバックするのが、あまりにも可愛くて、可愛くて、完全にダメでした。2023-08-03 22:32:37 GMT+9:002023-08-03 22:32:37 GMT+9:00
そういうダメになった人の感想なので割り引いて聞いて欲しいのですが、大変に満足でした。 女冥利に尽きるとはこの事か、みたいな。 ジルベールのマノンが、もう、心のままに好き放題踊るわけですよ。いや、振付なんだけど、その場で思いついた事をやってデグリューに付き合わせてるみたいに見える。2023-08-03 22:32:38 GMT+9:002023-08-03 22:32:38 GMT+9:00
アラベスクになったのを力であげるリフトあるじゃないですか。あれ、マノンが全く協力しないんだよね(もちろん中の人は協力してるのでしょうが)。 わかるわかるわかる、いっそ徹底的に重心を落として、持ち上げてみなさーいってやってるのを、持ち上げられたい! とか思ってしまって。2023-08-03 22:32:38 GMT+9:002023-08-03 22:32:38 GMT+9:00
てらいのない無限大の愛情を少しいなしつつ享受するという感じで、なるほど「出会い」を選んだのよくわかりました! となりまして。 毎回言ってる気がするけど、ジルベールは円熟期にいいパートナーに巡り会ったよな。バレエの女性の場合は特に、パートナーがいないと出来ないことがある気がするので。2023-08-03 22:32:39 GMT+9:002023-08-03 22:32:39 GMT+9:00
あ、女冥利に尽きると書きましたが、男同士で踊ってくれてもよくて、その場合は男冥利に尽きるわけです。 というか、大型犬から無条件の愛情を向けられて人間冥利に尽きる、みたいな事かも。2023-08-03 22:32:39 GMT+9:002023-08-03 22:32:39 GMT+9:00
一方で、この男を振って GM とよろしくやるのもメッチャわかるんですよ! だって、キミと一緒なら貧乏でも幸せとか真顔で言って、本当にそれで幸せそうなんだよね。ダイヤだって毛皮だって欲しいって言ったら、キミは僕と一緒なだけでは幸せじゃないんだねって、悲しそうな顔しそうなんだもん。2023-08-03 22:32:40 GMT+9:002023-08-03 22:32:40 GMT+9:00
続いてパリエロとフォーゲルで「マノン」の寝室を。 踊りとしての完成度は高かったと思うんだけど、いまいち感情は動かず。同じ作品なのだけどキャラ付けが全然違うのでつんのめるのもあり。 個人的にフォーゲルは作品と合う合わないが大きくて、デグリューはいまひとつかな。馬鹿っぽくないよね。2023-08-03 22:32:40 GMT+9:002023-08-03 22:32:40 GMT+9:00
スクダモアとベザールで「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド」 自分がフォーサイスをいまひとつわかってないせいもあるんだろうけど、うーんよくわからん、みたいな感じでした。 あの音楽、自分は332の8/8でカウントとりたくなるんだけど、踊りはワンツースリーフォーに見えて。2023-08-03 22:43:30 GMT+9:002023-08-03 22:43:30 GMT+9:00
「オネーギン」の手紙をアルビッソンとガニオで。これも大変に良かった。クランコを踊るには体格差が足りない感じの2人で、リフトは少し流れが悪かったりもするんだけど、それが欠点にならないのが素晴らしいところで。腕でキャッチするところでガクンとなるのに、そこでエレガントさが失われない。2023-08-03 22:47:07 GMT+9:002023-08-03 22:47:07 GMT+9:00
身長が近いゆえに、2人で引っ張り合うようなバランスなどで対称性の美しさがあらわれて、男女関係としても現代的な印象に繋がったり。 途中でタチアナが心を開いている様に見えた時に、オネーギンにちらっとだけ傲慢さがのぞくのが良かった。お、ま、え、は、そ、う、い、う男だよ! っていう。2023-08-03 22:50:41 GMT+9:002023-08-03 22:50:41 GMT+9:00
「手紙」って、今の私には優しい夫がいるのに、と思いつつよろめきかける話じゃないですか。 でも、今日はガラなので夫の存在はあまり頭に浮かばなくて、かわりに、この男はものすごく魅力的なんだけど、でも、本質的にはダメな男なの、絶対ここで流されるわけにはいかないの、みたいに見えた。2023-08-03 22:54:52 GMT+9:002023-08-03 22:54:52 GMT+9:00
あのガニオのオネーギンにあそこまでかき口説かれて落ちないでいられるものか、というのに対して、最後に帰りなさいと指をビシッとさすところが、まさに鋼の意志の体現という、鞭の音がしそうなぐらいの止めポーズで。 アルビッソンの表現って、うまく分析ができないんだけど、うぉぉってなる。2023-08-03 23:00:35 GMT+9:002023-08-03 23:00:35 GMT+9:00
後半は若手2人の「パリの炎」から。 女性バリエーションで音響さんが曲を間違えて出すという大チョンボをしたのもあって、なんか、全編の中でここだけコンクールっぽい感じに。 ムーセーニュ、グランフェッテを最後まで意地で112でやった、みたいに感じた。その意気やよし、ですかね。2023-08-03 23:03:58 GMT+9:002023-08-03 23:03:58 GMT+9:00
「コンチェルト」はスクダモアとドキール。 ドキールくん、先輩に筋トレ指南してもらった方がいいのでは?みたいに思ってしまった。 アラベスクを上げるリフト、女性の軸足が男性の体に押されて前に出て見えたのだが。斜め前では支えきれなくて、真上まで持ってきてるせいじゃないかと思ったのだ。2023-08-03 23:08:02 GMT+9:002023-08-03 23:08:02 GMT+9:00
「ヴィヴァルディ・パ・ド・ドゥ」 ジル・イゾアールという方の振付。 振付言語的には好みのラインで、実施は素晴らしく、ガニオも良かったが、パリエロの空中での姿勢の完璧に制御された美しさはまさに眼福だったのですが、なぜか作品としては頭に入らず。不思議とピースが頭の中で繋がらなくて。2023-08-03 23:12:03 GMT+9:002023-08-03 23:12:03 GMT+9:00
ゲッケの「悪夢」。 フォーゲルはお家芸らしくよかったのですが、ボラックがそれを超えて良かった。これ、彼女が選んだ演目なのかな? ゲッケの振付って、基本的に女性には合いにくいと思っているのだけど、今まで見た女性が踊るゲッケの中で一と言って二はくだらないぐらいに、ハマっていたと思う。2023-08-03 23:15:41 GMT+9:002023-08-03 23:15:41 GMT+9:00
ゲッケって、男の背中の筋肉の作る陰影大好きじゃないですか。なので、その時点で女性は不利だと思うんですよ。今日は衣装がよくて、ボラックも肩甲骨や背骨の影なんかが見えていたけど、それでもフォーゲルの背中の方が影はたくさんあって。 でも、ボラックはそこを超える強い印象を作る踊りだった。2023-08-03 23:23:26 GMT+9:002023-08-03 23:23:26 GMT+9:00
「椿姫」から、ガラでは比較的珍しい紫をアルビッソンとベザールで。 アルビッソンって、自分はすぐに優美という単語を使いたくなっちゃうんだけど、上半身では婀娜っぽくしなをつくっていても、腰から下半身の優美さが全体の品を保っている、みたいなのがあって、あれはなんなんだろうと。2023-08-03 23:28:17 GMT+9:002023-08-03 23:28:17 GMT+9:00
キャラクター表現としての優美さというより、生来の優美さに見えるんだよね。リフトのガタつきみたいな、計算されていない場所でも不思議と優美さが失われないという。 そういう、動きの OS レベルまで優美さを叩き込むように訓練されている、という事なんだろうかと思ったりした。2023-08-03 23:31:24 GMT+9:002023-08-03 23:31:24 GMT+9:00
紫という選択、わかるわかるわかるー、でした。 この2人だと、白でも黒でもなく紫が一番感情移入できそうな気がした。いや、白を見れば白も良かったってなるでしょうけど。 べザールの身の投げ出しっぷりとか、それを愛おしく思いつつも距離をとる心とか、そういう恋愛の機微みたいな表現が見事で。2023-08-03 23:34:31 GMT+9:002023-08-03 23:34:31 GMT+9:00
最後はジルベールとマルシャンで「うたかたの恋」 マルシャンのルドルフは、うーん、自分のイメージとはちょっと違う感じかなと思いながら見ていたんですが、マリーが出てきた途端にコンセプトを理解しました。 これ、「ルドルフ」じゃなくて「マリー・ヴェッツェラ」なんですよ。2023-08-03 23:37:19 GMT+9:002023-08-03 23:37:19 GMT+9:00
マリーと一緒になって、思う存分皇太子を弄んで楽しみましょう! という、大変に充実した時間でした。 拳銃の所とか、マスクの中で超笑顔になってたと思う。 私が天に向けて撃ったら、彼は雷に怯えるワンコみたいにスカートの中に駆け込んでくるのよ、見なくてもわかるわ、オーホッホッホ!って。2023-08-03 23:41:00 GMT+9:002023-08-03 23:41:00 GMT+9:00
人としてどうか、みたいな感想を書いてしまいましたが、今日のジルベールとマルシャンのペアは2作品とも、振付でも演劇でもなく、その場のリアル、みたいな印象が強くて。マノンもマリーも超楽しそう。 ロイヤルとは違う方向のマクミランだと思うんだけど、なんだか、わかるわかる度合いが強かった。2023-08-03 23:47:10 GMT+9:002023-08-03 23:47:10 GMT+9:00
プログラム出た時は、マノンの出会いと椿姫の紫? みたいに思ったのだけど、終わってみると、そうだよねー、そこをやりたくなるはめっちゃわかる! となって。 それで、考えたのですが、パリオペ男子って、恋人にするにはちょっと too much すぎたりしません? ラブラブ期よりも出会いがいいのかも。2023-08-03 23:49:09 GMT+9:002023-08-03 23:49:09 GMT+9:00
例えば、パリオペ男子チャリティーで、 A: デート12時間コース B: 熱烈な告白1時間コース C: 昔付き合ってた設定で再会し、手ひどく振る10分コース というのがあったら、自分は C > B >> A だなと。 だって、A は無理じゃないですか? それが、椿姫でも白より紫の方が感情移入できそうってのに。2023-08-03 23:54:45 GMT+9:002023-08-03 23:54:45 GMT+9:00
マリーの拳銃シーンを思い出してたら、突然、怒られそうな事を思いついてしまった。 これとポーズがほぼ一緒じゃないですか? https://t.co/VmycjhmfnK2023-08-04 00:09:01 GMT+9:002023-08-04 00:09:01 GMT+9:00
「マノン」「オネーギン」「椿姫」「マイヤーリング」と、設定としては男女の力関係が非対称でしんどめの作品が揃っていたわけですが、不思議とそういう感じのしんどさがなくて。キャストの組み合わせもあるだろうけど、女性のキャラクター表現に、そこを跳ねのける感じの力を感じるような。2023-08-04 00:20:04 GMT+9:002023-08-04 00:20:04 GMT+9:00
こういう事を思うのは、女性局フランス視察のニュースが頭の隅にあるせいかもしれないんだけど。 雑な事を言うと、ロイヤルのマクミランだと、1人では生きていけない女性が社会的圧力の中で云々的な感じで、パリオペだと、1人でも生きていける女性の恋愛っぽい印象でしんどさが減ってるのかもと。2023-08-04 00:23:28 GMT+9:002023-08-04 00:23:28 GMT+9:00