2024.08.04
バレエ・アステラス 2024
新国立劇場オペラパレス
バレエ
「バレエ・アステラス 2024」@新国立劇場オペラパレス。全体としてはよかったのだけど、井田勝大さんの指揮が全く趣味に合わず困ってしまった。 指揮が主導の緩急で、速すぎて煽られる感じが多くて。とても踊りにくそうに思ったのだが、ダンサーさんはどうだったんだろう。転んだりスリップしてたり。 https://t.co/C7aquH6hUc https://pbs.twimg.com/media/GUIB2WTbIAAxx-X.jpg https://pbs.twimg.com/media/GUIB2XOa8AA4Nkm.jpg2024-08-04 17:49:35 GMT+9:002024-08-04 17:49:35 GMT+9:00
一番可哀想だったのが黒鳥で、32回転が音に合わなくなって、回るだけは回ったけど、その後のパートでスリップして転んでしまって。日本人男性ダンサーに付き合って来日してくれてるのに、申し訳ない、と心の中で謝ってしまった。 他も速いのが多くて、高速回転勝負でもやってるんですか、みたいに。2024-08-04 17:53:38 GMT+9:002024-08-04 17:53:38 GMT+9:00
当たり前だけど、速くすればいいってもんじゃないよね、というのを心底実感できたのは収穫だったかも。 きちんと制御された中に高速部分があるからいいのであって、全部高速にした結果あちこち雑になるのなんて、自分は全く興味ないという事がわかったので。2024-08-04 17:59:55 GMT+9:002024-08-04 17:59:55 GMT+9:00
韓国から4名、男性2人は韓国芸術総合学校バレエアカデミー所属で、女性2人はOG。男性2人がなかなかすごくて、アカデミーからエースを2枚切ってきましたね、という感じだった。日本で芸大に舞踊学部ができる日なんて来るのかな。大学は縮小するから、日本が滅びるまで出来ないのかも、などと思ったり。2024-08-04 19:22:34 GMT+9:002024-08-04 19:22:34 GMT+9:00
最初は韓国勢2演目で、オネーギンを元にした「Une Promenade」と、瀕死の白鳥を元にした「The Prejudice」で、どちらもキム・ヨンゴルという韓国芸術総合学校の教授の振付。作品としてはどちらも今ひとつ好みではなかったな。自分の中ではウィールドンと似た枠で、女性への振付が全くピンとこない。2024-08-04 19:26:06 GMT+9:002024-08-04 19:26:06 GMT+9:00
パラレル版オネーギンをやったのが、チョン・ミンチョル。宝塚か!と思うぐらいの小顔に細く長い手足の韓国系美男子。ただ、肩幅はしっかりあって、リフトも悪くない。 振付はクラシックの動きを少し捻ってあるのだが、男性はとても魅力的に見えた。女性は、不適切な表現しか思い浮かばないので自粛。2024-08-04 19:29:57 GMT+9:002024-08-04 19:29:57 GMT+9:00
低い位置でのローテーショナルリフトから、そのまま女性を放り出してスライドさせるのが2回あったと思うのだが、わかるわかる、オネーギンってそういう男! というのだけは、振付家と解釈が一致してた。 と思ったのだけど、振付家はそういう意図ではないのかもしれな。2024-08-04 19:31:29 GMT+9:002024-08-04 19:31:29 GMT+9:00
「海賊」からギュルナーラとランケデムのPDDを、フィンランド国立バレエの升本さん有水さんで。 この PDD、全幕で見るのは好きなんだけど、ガラだと難しいと思うんだよな。性奴隷の人身売買シーンなんだけど、終わった後に笑顔でレベランスできるような半端な役作りで踊るじゃないですか。2024-08-04 19:36:24 GMT+9:002024-08-04 19:36:24 GMT+9:00
個人的には、ギュルナーラが嫌がっているのをリフトするという部分を、いかに非協力的に見せるかというのが技術面での最高難度の部分だと思っているのだけど、ガラでやる時って、なんとなく仲悪くなさそうな感じで踊るから、そこの難しさも全然感じなくて物足りなく思ってしまったり。2024-08-04 19:38:37 GMT+9:002024-08-04 19:38:37 GMT+9:00
有水さん、ランケデムがなかなかお似合いで、ちょい悪かつとてもチャーミング。それで、この演目を選んだのかな、とは思った。 スタンスを広くとった立ち方や腰から折る礼なんかもランケデムらしくて良かったのだが、時々、普通のバレエ的動作に戻っちゃう瞬間があるのは若さだろうな。2024-08-04 19:41:47 GMT+9:002024-08-04 19:41:47 GMT+9:00
デヴィッド・ドウソンの「ロメオとジュリエット」からバルコニーを、ドレスデンの綱木彩葉さんとジョセフ・グレイが。 ドレスデンのロミジュリといえば、ゴメスがティボルトやったり、ヴァイエホがマキューシオをやったりしてるやつではないですか! と楽しみにしていて。2024-08-04 19:48:09 GMT+9:002024-08-04 19:48:09 GMT+9:00
振付も結構好きで、2人の踊りもよく、恋心もよく伝わってなかなかに良かったのですが、なぜか、ロミオがすっごくダメな感じに見えて。ジュリエットを見てる時は真剣に恋しているのに、ジュリエットが視界にいない時には恋している自分に陶酔してる、みたいな。 自分でも理由がわからないのだけど。2024-08-04 19:52:59 GMT+9:002024-08-04 19:52:59 GMT+9:00
レオ・ムジック振付「ハムレット」から、第4独白あたりの PDD をクロアチア国立劇場の鈴木里依香さん住友拓也さんで。 すごくドラマティックで、振付もよかったし、タイトルロールの住友さんもハムレットの苦悩がよく出ていたと思うのだが、何よりもオフィーリアの鈴木さんが素晴らしかった。2024-08-04 19:56:39 GMT+9:002024-08-04 19:56:39 GMT+9:00
オフィーリアって、中盤で退場で、ハムレットとレアティーズの決闘の原因になるためのキャラ、みたいなところがあるじゃないですか。尼寺へ行けとか言われて狂って溺死するっていう、元祖冷蔵庫の女というか。 振付も、そこを超えてないと思うんだけど、鈴木さんの踊りでそこを超えてきたと思って。2024-08-04 19:59:39 GMT+9:002024-08-04 19:59:39 GMT+9:00
長いスカートなので、あまり見えないんだけど、すごく強靭な線を持った足をされていて。細いんだけど、鋼のような強さを感じて。 その足を中心とした強い線を持った体によって、オフィーリアのキャラクターに強い自我が与えられていて、冷蔵庫の女ではなくなっていたと思う。2024-08-04 20:03:52 GMT+9:002024-08-04 20:03:52 GMT+9:00
今回、なぜかコジョカルがゲストで。どういう伝手で呼んだの? と不思議なのですが。相手役はチューリヒの吉山シャール・ルイさん。 1つ目は「ラプソディ」のパ・ド・ドゥ。リフトでヒヤッとしたりもしたのですが、コジョカルは全くゆるがず。ベテランと若手のいいコンビネーションでした。2024-08-04 20:13:48 GMT+9:002024-08-04 20:13:48 GMT+9:00
新国立から柴山さん井澤さんで眠り3幕のPDD。 これ、終盤の音楽が速すぎたと自分は思ったのだけど。オーロラは速さで勝負するキャラじゃないでしょ。古典演目の中で最も「姫度」の高いキャラの1人で、いかに優雅さを見せるかにこだわるべきだと思うのですが、指揮の井田勝大さんは違う考えっぽい。2024-08-04 20:18:36 GMT+9:002024-08-04 20:18:36 GMT+9:00
後半は、研修所メンバーでカィェターノ・ソト「Conrazoncorazon」より。 幕が開いた途端に、コーラスラインの「One」だ、と思ったのだが、当たらずとも遠からずぐらいで、面白かった。 センターの方をはじめ、女性陣は悪くなかったのだけど、男子はもっと頑張れー、だったかな。2024-08-04 20:25:44 GMT+9:002024-08-04 20:25:44 GMT+9:00
ただ、ここらへんの踊り、日本人男性バレエダンサーは苦手な人が多いと思うので、研修所でやっておくのはとてもいい事なんじゃないかと思う。 体を強く捻ったり、背中や腰の反ったラインを見せたりって、男性の方が大変だと思うのだけど、そこに意識がいくようになると表現の幅も広がるでしょうし。2024-08-04 20:28:43 GMT+9:002024-08-04 20:28:43 GMT+9:00
作品自体は結構好きだったので、新国立メインカンパニーの方でもやってくれないかな。プリンシパルを入れて豪華にやるのも面白そうだし、若手中心に組んで気合いを見せてもらうのも楽しそう。2024-08-04 20:32:13 GMT+9:002024-08-04 20:32:13 GMT+9:00
韓国芸術総合学校バレエアカデミーのイ・カンウォンが「ライモンダ」のジャンのバリエーション。 身長は少し低めだが、手の先にラインが伸びていくしなやかでキレのある踊り。ジャンプ力もあって、フィニッシュのポーズは柔軟性も高く、ビシッと決まっていた。 やはり国立大学あると強いよなー、と。2024-08-04 20:36:18 GMT+9:002024-08-04 20:36:18 GMT+9:00
クイーンズランドの吉田合々香さんと、チューリヒのジョール・ウォールナーで、リアム・スカーレットの「デンジャラス・リエゾン」2幕から寝室のパ・ド・ドゥ。 スカーレットに関しては、今でもどう扱えばいいのか困っているのですが、それはさておき、素晴らしかった!2024-08-04 20:42:01 GMT+9:002024-08-04 20:42:01 GMT+9:00
スカーレット、女性を美しく見せるのがとても上手だと思うのだけど、中でも軽いリフトで感情表現とリンクした美しい線を作る技術は世界有数だと思う。 吉田さんの実施がまた見事で、軽いリフトから激ムズ系まで、どこを切っても美しいポジション。全幕も見たいが、日本で上演される事はないだろうな。2024-08-04 20:46:50 GMT+9:002024-08-04 20:46:50 GMT+9:00
「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」はオーストラリアの近藤亜香さんとチェンウ・グオ。 これも音楽が速すぎたと思う。テクニックの強い2人なので踊り抜いてたけど、カーテンコールは息が上がってたような。 何より、パを詰め込むのでいっぱいで、表現の部分が犠牲になっていたんじゃないかと。2024-08-04 20:50:25 GMT+9:002024-08-04 20:50:25 GMT+9:00
最後はコジョカルと吉山さんで「マノン」の寝室。 12年前のバレエフェスでコジョカルとコボーの寝室を見ているのだが、それ以来のコジョカルのマノン。それが新国立なのも面白いよな。 先入観もあるとは思うのだけど、踊りが体に入っている、という境地だなと、しみじみと鑑賞してしまった。2024-08-04 20:56:47 GMT+9:002024-08-04 20:56:47 GMT+9:00
吉山さんもとてもよかった。マクミランをしっかり踊っていたと思います。 しかし、吉山さんの世代で、コジョカルとマノン踊った人って、もしかして世界に1人だったりしないのかな? 他でも誰かと踊ってたりするんだろうか。多くても数人だよね。すごくいい経験になったのでは。2024-08-04 20:59:11 GMT+9:002024-08-04 20:59:11 GMT+9:00
バレエ・アステラスのプログラム「デンジャラス・リエゾンズ」の解説に「2021年に惜しまれつつ亡くなった英国人振付家リアム・スカーレット」と書いてあるのだが、歴史修正主義っぽく感じて。 人々が彼を惜しんだのは彼が死んだ後で、彼が亡くなったのは世界が彼を拒絶したからだと思っているので。2024-08-04 21:05:46 GMT+9:002024-08-04 21:05:46 GMT+9:00
いまだに彼のこと、彼の振付作品をどう扱っていいのかわからなくて。 彼が常任振付家であった英国ロイヤルでは、(白鳥を除けば)彼の作品は全く再演されていないという事を考えると、本当は上演されるべきではないのかも、と思ったりもして。 彼の振り付けた作品はとても好きなのだけれど。2024-08-04 21:16:42 GMT+9:002024-08-04 21:16:42 GMT+9:00
こういう事を言うのはアレなんですが。今、彼の作品を見ることができるのは、彼がああいう亡くなり方をして、その結果としてキャンセルされなくなったからだ、というのは絶対にあると思っていて。 この件に関しては、本当にどうしていいのかわからないまま作品を見ている。2024-08-04 21:26:15 GMT+9:002024-08-04 21:26:15 GMT+9:00
こういうの、考えてもどうしようもないし、どちらかといえば精神衛生上悪いのはわかってるんだけど。 どこか一つでいい、自分の作品を上演してくれるところがあればと、死ぬほど、文字通り死ぬほど願っていた時には叶えられなかった人の遺志に沿うのはどういう事なんだろう、とか考えちゃったりも。2024-08-04 22:32:50 GMT+9:002024-08-04 22:32:50 GMT+9:00
少なくとも自分だったら、「惜しまれつつ亡くなった」みたいな綺麗事で説明されながら上演されて賞賛されるなんてのは絶対に望まないなとか、そういう事を考え出すときりがないわけで。2024-08-04 22:36:34 GMT+9:002024-08-04 22:36:34 GMT+9:00
あ、勘違いされるかもしれないので、文字にしておきますが。 自分はスカーレットを拒絶した側の人間だと思っていて、だから、罪の意識があって、こういう事をグルグルと考え続けちゃうわけです。 終始彼の側にいた方々に対して文句をつけるつもりは全くないのです。2024-08-04 23:08:23 GMT+9:002024-08-04 23:08:23 GMT+9:00