2024.10.20
D'après une histoire vraie-本当にあった話から
クリスチャン・リゾー
さいたま芸術劇場大ホール
ダンス
クリスチャン・リゾー「D'après une histoire vraie-本当にあった話から」@さいたま芸術劇場大ホール。 中年男性8人が男性ドラム2人で踊る作品。ダンスとしても悪くはなかったのだが、すごくコンセプチュアルな作品で、いろいろ考えながら見てしまった。 リゾー氏のポストトークが大変に面白かった。 https://t.co/zE8T0vkO0V https://pbs.twimg.com/media/GaUfmDHbUAAwwjt.jpg2024-10-20 17:29:10 GMT+9:002024-10-20 17:29:10 GMT+9:00
ポストトークで驚いたのが、最後の3分はインプロヴィゼーションだという事。それは、ロジカルな帰結であり、ドラマツルギーとしてそれしかないから、だという事。 言われてみるとそれしかないよね、と理解するんだけど。リゾー氏、振付家というよりも演出家というかコンセプトデザイナーなんだろうな。2024-10-20 17:32:57 GMT+9:002024-10-20 17:32:57 GMT+9:00
全体の構成は、個がグループになる前半、舞台上の小道具が片付けられて、コミュニティとなる後半。 小道具は椅子、観葉植物、開かれた本、天体を表す3つの球。不在の人(振付家かも)を表すと解釈もできると。 この、そういう捉え方もできる、と本人が余地を残して言うの、パパイオアヌーと共通だ。2024-10-20 17:38:45 GMT+9:002024-10-20 17:38:45 GMT+9:00
自分が見ててすごく興味深かったのが、ある種の男性性を取り除いてある一方で、ものすごくホモソーシャルなコミュニティが描かれている事。 集団への帰属がとても重要で、盃をもらったら一家の一員だ、みたいな、個と個の関係を跳び越える形でのコミュニティへの受容のシーンがあったり。2024-10-20 17:46:01 GMT+9:002024-10-20 17:46:01 GMT+9:00
リゾー氏がトークでデュアリティーという言葉を使っていたのだけれど、一つの正解ではなく、対になる2つのものを同時に舞台にあげる、という作り方をするみたいで。 男性性に関しても、排除している部分と強化している部分の両面性があるんだなと納得したのでありました。2024-10-20 17:48:14 GMT+9:002024-10-20 17:48:14 GMT+9:00
男性同士で手を握りあったり、ソシアル的なホールドをしたり、2人で肩を組んだりという、西洋の舞踊では古典的には男女、男性同士で使われる場合にはロマンティックな含意を持つタイプの動きを、個人間の親密性を排除した文脈に再構築して使うのが大きな特徴だったと思う。2024-10-20 17:52:38 GMT+9:002024-10-20 17:52:38 GMT+9:00
前半部分は男だけのヨガクラス、それもペアヨガを取り入れつつも相手は固定しない、みたいな感じが。 舞台上で男同士で手を握り合うのって、ロマンティックな意味が発生しやすいけど、準備運動で相手の手を持って引っ張り合うのを見ているみたいに、余計な意味が削ぎ落とされていく。2024-10-20 17:58:41 GMT+9:002024-10-20 17:58:41 GMT+9:00
非常に気を使って構成してあるのだと思うのだけど、8人のうちに固定のペアができないように、個人同士の親密さにフォーカスがあたらないように、集団の中にいる者同士は全て互いに受容しあっている事がわかるように、細かく組み合わせを変えながら踊る。2024-10-20 18:04:51 GMT+9:002024-10-20 18:04:51 GMT+9:00
コンセプトとしてはすごくわかるんだけど、個人的なダンスの好みは完全に逆なので、そういう点では趣味とは全然違う踊りではあった。 8人それぞれ外見がかなり違うのだけど、踊りとしては、顔のない人々、個人としての特徴がない人々、になっちゃうように作られているんだよね。2024-10-20 18:08:09 GMT+9:002024-10-20 18:08:09 GMT+9:00
男の趣味がわかりやすくてスミマセン、なんですが、背が高くて腹がやばいんだけど運動量が多くてキュッと軸の細い回転をするダンサーさんに目を惹かれてて。 最後の3分のインプロ、彼は何度か回転を入れていたのですが、そこで初めてコミュニティの中に個人の個性が現れるという構成なんだなと。2024-10-20 18:12:42 GMT+9:002024-10-20 18:12:42 GMT+9:00
この作品を見て、あそこを踊ったダンサーが好きだった、みたいな感想って、多分少ないと思う。そうならないようにというのがコンセプトのひとつというか。 ちょうど昨日見た「ピローマン」の小川演出と好対照で、個人にフォーカスしない事によるテーマの提示であり、それもひとつの「男性性」かも。2024-10-20 18:18:43 GMT+9:002024-10-20 18:18:43 GMT+9:00